2017. 12. 19  
よんどころない事情によりテレビを買い替えることになり、お店で物色したところ、ほとんどの機種に「4K」と書かれている。4Kって何ぞやという疑問もあったが、絵が綺麗であることは間違いないということで購入に踏み切った。
折角4Kテレビがあるのなら、ということで購入したソフトが、現在クラシックで唯一発売されている2015ザルツブルク音楽祭の「フィガロの結婚」である。
これは看板に偽りなし、素晴らしい画質だ。
全体的にソフトな感じでハイビジョンにあったギラギラ感は皆無、輪郭のボヤケもなく、何より肌や生地の質感が見事で、実に美しい。

我が家にテレビが来たのは学生時代、秋葉原でキットを買って組み立てたのが最初だが、それから60年、ここまで来たかと思うと感慨深い。
DSC03360(1)conv2.jpg
IMG_20171218_0001(1)conv.jpg
演奏も役者揃いで言うことなし、次から次へと飛び出すアリアや重唱がどれも素晴らしい。
舞台は縁の下から2階まで見える3層構造で、今流行りの抽象的というか幾何学的な素材を並べただけ、みたいなものとは違い、手の込んだ見応えのあるものになっている。
中心人物以外にも、他の部屋で誰かが何かを演じているのが見えている。例えばフィガロの有名な1幕のカヴァティーナを歌っているときに、2階の部屋ではスザンナが仕事着に着替えている、これなんか男でなくても、そちらに目がいってしまいそうだが、面白いと思う。
伯爵夫人がとても綺麗で素敵なのも特筆ものだ。しっとりしたアリアやケルビーノと戯れる姿が何ともチャーミングだ。ケルビーノに見せつけるようにきれいな足を高く上げて、ストッキングをつけるといったサービスカットも忘れない。
DSC03365conv1.jpg
DSC03362conv1.jpg

ダン・エッティンガーの指揮も素晴らしい。日本では聴いたことがなかったが、東フィルの桂冠指揮者だそうだ。ステージ上の歌や動きにピタリと寄り添い見事に引き立てる、また、これも指揮者の手腕といえると思うが、ウイーンフィルが、往年の柔らかな絹ごしの音を発しているのだ。まだ40代とか、素晴らしいオペラ指揮者になりそうだ。

時代背景を第一次世界大戦後に置き換えているが、貴族のかつらやタイツの時代よりテンポ感があって成功していると思う。家具調度も違和感なく調和している。

このディスクには「ディジタルオペラガイド」というメニューがありシーン毎に、舞台面や裏側の解説が読めるようになっている。日本語もサポートされているので結構ありがたい。
DSC03367(1)conv1.jpg
2017. 12. 03  
サザン、桑田佳祐といえば夏のイメージが強いが、今年は朝ドラのテーマソングを歌った所為か、寒くなってもテレビやネットでよく顔を見る。
テレビデビューしたのはまだ学生時代で、外人まがいの不思議な言葉で歌うのを聞いたときは「何だこりゃあ」と思ったものだが、いかにも愛嬌のある表情と、意外とぶれない歌唱力が印象に残っていた。
先日、昭和の名曲をカバーしたビデオを発売したというテレビのCM(MVというのか?)で、かぐや姫の神田川を歌っているのを観て、大いに気に入り、すぐアマゾンしてしまった。
ブルーレイに収録された「THE ROOTS」と命名されたアルバムは、灰田勝彦の「東京の屋根の下」に始まり、高倉健の「唐獅子牡丹」まで全18曲、知らない曲はなく、どの曲も桑田が歌ったらどうなるか想像できる、そしてその通りの歌唱で、まことに楽しい。
全てスタジオライブ収録だが、色調が単調で音質も普通のレベルを出ない。せっかくブルーレイなので、もっとクリヤさが欲しい。所々にロケの映像が挿入されているのは、変化があって悪くない。
曲のイントロに重ねてナレーションが入るのが、繰り返し聴いているとじゃまになることがある。メニューから消すこともできるようになっているが、ちょっと面倒くさい。
オマケとして7インチの45回転アナログ盤(ドーナッツ盤)がついていて、そのためにケースが大きく、収納しにくいというのも欠点と言えなくもない。
その形に合わせた洒落たブックレットが添付されているが、歌詞カードはない。
価格は7千円、輸入盤のオペラ物なんかに較べるとびっくりするような値段だが、シングルCDを買い集めるよりは安いかもしれない。
桑田ムード満載のアルバムだが、昔懐かしさを壊すことなく、老人にも楽しめるようにできていて、お勧め盤だと思う。

IMG_20171203_0001convert.jpg

IMG_20171203_0003(1)convert.jpg
2017. 11. 08  
われらが三戸大久さがん出演の「トスカ」を観た。「われらが」等と書くのはいささかおこがましいが、かって我々のアマオペラで一緒に歌っていた仲間なのだ。
新国立劇場の合唱団に在籍の後、ソロに転じ、着実に若手のバスバリトンの地位を確立している。
その彼がスカルピアを演じるというので、飛びついた。
演出は、世界的に評価されている(といわれても知らなかったが!)映画監督の河瀬直美、チラシの宣伝文には時代背景を古代日本に置き換え、どうしようもない悲劇に一筋の希望の光を与える、とある。置き換え演出というのは、近頃の流行りみたいなものだが、どうも理解不能のものが多くて、好きにはなれない。しかも希望が出てきては、トスカにならないのではないか、という訳で専ら音楽に期待することにした。
タイトルロールを歌うのは、プラーハ出身のルイザ・アルブレヒトヴァ、初耳だ。トスカとはもしかするとこういうタイプなのかもしれないが、やや可愛い系で物足りなかった。最大の聞かせどころであるアリア「歌に生き恋に生き」にしても演出上の問題もあるのだがもう少し聴いて聴いてという盛り上がりが欲しかった。
お相手のカヴァラドッシはルーマニア出身のアレキサンドル・バディア、こちらも初耳だが、日本ではカラフを歌ったことがあるとか、有名なアリアが冒頭と最後に置かれているのでテノールにとっては大変な難曲だが、まずまずの出来か。最後の「星は光りぬ」は楽譜を見ると簡単そうな曲だが、短い中で悲しみから激情に転じる表現は至難の業だ、パディアも、サビの高々A音が満足に出し切れなかった。
大詰めで歌われるトスカとの切々とした、しかも激しい二重唱が、いささか稽古不足ではなかったのか、何か物足りなかった。終盤オケが止まってユニゾンで高らかに自由をたたえる部分では、リズム、ディクションとも、いまいちだった。
期待のスカルピアは、声、風貌共に圧倒的な存在感で素晴らしかった。現在、日本における最高のスカルピアと言っても過言ではない。特に一幕幕切れのテデウムは大好きな場面なのだが、力一杯の合唱、オケの中から突き抜けてくるバスバリトンのソロは感動的だ。
今回の演出によるものかと思うが、トスカを口説くときのいやらしく優し気な顔は、意外な感じで面白かった。
何といっても突っ込みどころは演出だ。衣装は全くチグハグだし、二幕はどうみても洋間としか思えなかった。おまけにバックの映像が水中のようにチラチラと邪魔だった。さらにスカルピアが刺されたときに盛大に花火が上がる、どう考えてもプッチーニさんに失礼だ!大詰めの2分間位は、ものすごい緊迫感で終わるオペラだが、ここでトスカはシルエットになり羽根が生えてゆっくりと昇天する。最後の絶叫も遠い山彦のようになっていた。
これが「希望」なのかもしれないが、ちょっとうなずけなかった。
何より、古代の日本というのに、主役の二人が外人というのはそもそも頂けない。
カーテンコールではブーイングがでていたが、むべなるかな、というところか。

IMG20171107_0001convert.jpg
2017. 09. 25  
DSC_0321(1)convert.jpg

音楽仲間の友人に誘われて、雑司が谷にあるタンゴバー「エルチョクロ」で、久しぶりにタンゴの生演奏をきいてきた。合唱にのめり込んでからというもの、久しく(おそらく30年以上)タンゴを聴いていなかったので、たいへん懐かしく嬉しいお誘いだった。
ステージは築75年の古民家を改装したという建物、鴨居や床の間の痕跡を残した洒落た空間で音響も良く、好きなアルゼンチンタンゴをじっくり堪能することができた。
演奏は、LAST TANGO、ちょっと変わったネーミングの5人組。
ヴァイオリン、アコーディオン、ギター、コントラバスのカルテートに女性ボーカルという編成。正直、バンドネオンではなくアコーディオンというのが、ちょっと引っ掛かったがとんでもない、素晴らしい切れ味で、アルゼンチンタンゴ独特の、無音のスタッカート感も見事だった。
演奏された曲は、今どきのバンドらしく、コマーシャルベースに乗ったものはなく、ほとんどメンバー夫々が作曲したオリジナル曲だった。
曲名をメモし損なったので違っているかもしないが「悪魔のロマンス」「五月のパリ」「百万遍」「ラストコーヒー」「迷子の小鳥たち」「ファンゴ」といった曲名だったかと、機会があれば確認したいと思う。何となくピアソラチックな雰囲気が漂うが、若いアーティストにとっては神格化された存在なのかもしれない。私などは、クラシックの演奏家がよく取り上げる「リベルタンゴ」と「オブリビオン」以外はほとんど知らないが!
スタンダードナンバーというか、耳馴染みのあった曲では、プグリエーセの演奏で有名になったという「Callo Ciego(盲目のにわとり)」ワルツで「Palomita Blanca(白い小鳩)」超有名曲の「El choclo」の3曲。他にピアソラのアヴェマリアという曲、ごくポピュラーな曲とのことだったが初めて聞いた。とても穏やかで癒された感じ。
お店の名前にもなっている超有名曲「エルチョクロ」は、なんとコントラバスの超絶技巧をフューチャーしたすごい演奏。でっかいコンバスを猛スピードでたたき、こすり、はじき、胸のすく快演に拍手喝さいだった。
久しくご無沙汰していたタンゴだったが、香り高い生演奏を真近で聴いて、タンゴ愛がぶり返してきたようで、しまい込んだレコードを引っ張り出すことになりそうだ。
なお、この LAST TANGO、11月にピアノの名手を加えた、キンテート プラスヴォーカルの形で、第100回目の記念コンサートを開催するとのことで、チラシが配られたが、より華やかで充実した演奏が期待できそうだ。

IMG_20170925_0001convert.jpg
2017. 09. 05  
29日 すみだサマーコンサート
すみだトリフォニーホール
カール・オルフ 「カルミナ・ブラーナ」
上岡敏行指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
栗友会合唱団 (合唱指揮)栗山文昭
すみだ少年少女合唱隊(指揮)甲田 潤
安井陽子(S)、絹川文仁(T)、青山 貴(B)

「わが街のオーケストラ」というサブタイトルがついたサマーコンサートだ。
トリフォニーホール開館20周年を記念して、開催された公演とのことで、地元の少年少女合唱隊も共演、新日フィル音楽監督の上岡敏行のタクトで行われた。
上岡敏行は、音楽誌等に載っている写真から受ける印象では、勢いのいい攻撃的な指揮をする姿を想像していたが、演奏はむしろ繊細で極めてしなやかなものだった。
カルミナ・ブラーナは、曲調がそうであるために、前へ前へ突っ込んで行く演奏が多いが、今回は、ダイナミックレンジは大きいものの、全体に角が取れた柔らかい感じ。これは、上岡というより、栗友会の特質かもしれない。
冒頭、O fortuna の semper crescis の PP もややスッキリし過ぎな感じ、好みとしてはもっと攻撃的な PP がほしかった。
人気曲だけに、 you tube にも見切れないほどの演奏が出てくるが、それらに較べて、今回の上岡と新日フィル、栗友会は、相性がいいというか、密度が濃く、しかもクリヤな演奏だったと思う。
ソリスト陣は、夜の女王を18番とする安井陽子(ソプラノ)、モノスタートスが得意な(演技派?)絹川文仁(テノール)、いまや人気絶頂実力派の青山 貴(バリトン)の三人で、言うことなし、夫々当を得た歌いっぷりだった。三声部とも、非常にキーが高く、難しそうだが、特にテノールはハイDが要求されていて、自然で強力な裏声が必要だ。しかも出番が極く短いので、何だか気の毒だが少々演技をつけて無難に乗り切っていた。

記念演奏会ということで、始めに少年少女合唱隊が、エストニアの作曲家、アルヴォ・ベルトの「子供の頃からの歌」という合唱曲集を歌った。
全く初耳の現代作曲家だが、曲は「もう大人なんだもん」「てんとう虫のうた」「サンタのおじさん」といった名前が並び、まさに子供向けの分かりやすいもの。
演奏も少年少女合唱の典型、大変美しく素晴らしかった。
なんと上岡敏行がピアノを担当、ニコニコと楽しそうに弾いていたのが印象的だった。

すみだサマコン(1)convert

すみだサマコン(2)convert
プロフィール

がんも

Author:がんも
ヨハン・シュトラウスと女の子が大好きな老人です。
歌うことが大好きです。イタリア民謡とかトスティとか。
小旅行も大好きです。新緑や残雪の山並みを見るとドキドキします。

最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR