2017. 09. 25  
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音楽仲間の友人に誘われて、雑司が谷にあるタンゴバー「エルチョクロ」で、久しぶりにタンゴの生演奏をきいてきた。合唱にのめり込んでからというもの、久しく(おそらく30年以上)タンゴを聴いていなかったので、たいへん懐かしく嬉しいお誘いだった。
ステージは築75年の古民家を改装したという建物、鴨居や床の間の痕跡を残した洒落た空間で音響も良く、好きなアルゼンチンタンゴをじっくり堪能することができた。
演奏は、LAST TANGO、ちょっと変わったネーミングの5人組。
ヴァイオリン、アコーディオン、ギター、コントラバスのカルテートに女性ボーカルという編成。正直、バンドネオンではなくアコーディオンというのが、ちょっと引っ掛かったがとんでもない、素晴らしい切れ味で、アルゼンチンタンゴ独特の、無音のスタッカート感も見事だった。
演奏された曲は、今どきのバンドらしく、コマーシャルベースに乗ったものはなく、ほとんどメンバー夫々が作曲したオリジナル曲だった。
曲名をメモし損なったので違っているかもしないが「悪魔のロマンス」「五月のパリ」「百万遍」「ラストコーヒー」「迷子の小鳥たち」「ファンゴ」といった曲名だったかと、機会があれば確認したいと思う。何となくピアソラチックな雰囲気が漂うが、若いアーティストにとっては神格化された存在なのかもしれない。私などは、クラシックの演奏家がよく取り上げる「リベルタンゴ」と「オブリビオン」以外はほとんど知らないが!
スタンダードナンバーというか、耳馴染みのあった曲では、プグリエーセの演奏で有名になったという「Callo Ciego(盲目のにわとり)」ワルツで「Palomita Blanca(白い小鳩)」超有名曲の「El choclo」の3曲。他にピアソラのアヴェマリアという曲、ごくポピュラーな曲とのことだったが初めて聞いた。とても穏やかで癒された感じ。
お店の名前にもなっている超有名曲「エルチョクロ」は、なんとコントラバスの超絶技巧をフューチャーしたすごい演奏。でっかいコンバスを猛スピードでたたき、こすり、はじき、胸のすく快演に拍手喝さいだった。
久しくご無沙汰していたタンゴだったが、香り高い生演奏を真近で聴いて、タンゴ愛がぶり返してきたようで、しまい込んだレコードを引っ張り出すことになりそうだ。
なお、この LAST TANGO、11月にピアノの名手を加えた、キンテート プラスヴォーカルの形で、第100回目の記念コンサートを開催するとのことで、チラシが配られたが、より華やかで充実した演奏が期待できそうだ。

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2017. 09. 05  
29日 すみだサマーコンサート
すみだトリフォニーホール
カール・オルフ 「カルミナ・ブラーナ」
上岡敏行指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
栗友会合唱団 (合唱指揮)栗山文昭
すみだ少年少女合唱隊(指揮)甲田 潤
安井陽子(S)、絹川文仁(T)、青山 貴(B)

「わが街のオーケストラ」というサブタイトルがついたサマーコンサートだ。
トリフォニーホール開館20周年を記念して、開催された公演とのことで、地元の少年少女合唱隊も共演、新日フィル音楽監督の上岡敏行のタクトで行われた。
上岡敏行は、音楽誌等に載っている写真から受ける印象では、勢いのいい攻撃的な指揮をする姿を想像していたが、演奏はむしろ繊細で極めてしなやかなものだった。
カルミナ・ブラーナは、曲調がそうであるために、前へ前へ突っ込んで行く演奏が多いが、今回は、ダイナミックレンジは大きいものの、全体に角が取れた柔らかい感じ。これは、上岡というより、栗友会の特質かもしれない。
冒頭、O fortuna の semper crescis の PP もややスッキリし過ぎな感じ、好みとしてはもっと攻撃的な PP がほしかった。
人気曲だけに、 you tube にも見切れないほどの演奏が出てくるが、それらに較べて、今回の上岡と新日フィル、栗友会は、相性がいいというか、密度が濃く、しかもクリヤな演奏だったと思う。
ソリスト陣は、夜の女王を18番とする安井陽子(ソプラノ)、モノスタートスが得意な(演技派?)絹川文仁(テノール)、いまや人気絶頂実力派の青山 貴(バリトン)の三人で、言うことなし、夫々当を得た歌いっぷりだった。三声部とも、非常にキーが高く、難しそうだが、特にテノールはハイDが要求されていて、自然で強力な裏声が必要だ。しかも出番が極く短いので、何だか気の毒だが少々演技をつけて無難に乗り切っていた。

記念演奏会ということで、始めに少年少女合唱隊が、エストニアの作曲家、アルヴォ・ベルトの「子供の頃からの歌」という合唱曲集を歌った。
全く初耳の現代作曲家だが、曲は「もう大人なんだもん」「てんとう虫のうた」「サンタのおじさん」といった名前が並び、まさに子供向けの分かりやすいもの。
演奏も少年少女合唱の典型、大変美しく素晴らしかった。
なんと上岡敏行がピアノを担当、ニコニコと楽しそうに弾いていたのが印象的だった。

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2017. 07. 18  
4日 オーチャードホール
マーラー 千人の交響曲  山田和樹指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
武蔵野合唱団 栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊
林 正子(S)、小林沙羅(S)、清水華澄(A)、西村 悟(T)、妻屋秀和(B)他

昨年の7月からこの6月までの1年間に、「千人」を3回も聞いた。評論家じゃあるまいし、こんな大曲を3回も聞く人はあまりいないと思う。
おかげでこの曲の面白さや不思議さが、少し分かってきたような気がする。

今回は、武蔵野合唱団が第一コーラスを、栗友会合唱団が第二コーラスを担当するという演奏形式で、夫々の特徴を活かした組み合わせだったと思う。

武蔵野は力強さが特徴、と言ったら言い過ぎだろうか、とりわけ男声のパワーは圧倒的で、中でもテノールはものすごい!コバケンの指揮で聴いたモツレクのメリスマは、笑っちゃうほどのド迫力と鋭い切れ味、まさに驚嘆ものだった。
一方の栗友会は絶妙のバランスと、ハーモニーの美しさだ。初めてこの合唱団の第九を聴いたとき、ノイズっ気のない伸び伸びとした響きに痛く感動したものだ。

これらの特徴を存分に活かすために、この組み合わせにしたものと思われるが、結果は大成功、迫力と繊細さが見事に表現されていた。
歌詞の翻訳を読んでも、いろいろな解説を読んでも、曲の奥深さや、精神性みたいなものはさっぱり分からないが、壮大な音楽にどっぷりと浸っているだけでまことに心地よい。

オーチャードホールは、比較的どこの席でも同じように聞こえるが、今回は男声がステージ奥の高見に集中していて、メガホンの口元で歌っている感じになるのだろうか、ともするとコーラスがオケを圧倒するような場面もあった。
それだけに、冒頭 ff で出てくる “Veni” の迫力は凄まじく、一気に千人の世界に引き込まれてしまった。
驚いたのは、大人のコーラスが暗譜だったこと。これまでの例だと歌う範囲が限定されているためか、少年少女が暗譜ということは多かったが、今回は逆だ。
ヤマカズ先生、ずいぶん思い切った要求をだしたものだ。このラテン語とドイツ語による長大なテキスト暗記するだけでも大変な努力を強いられたことと思う。尤も、聞いている側は何語であろうと、ほとんどの人が分からなかったと思うので、失礼ながら案外うやむやでもよかったのかもしれない!
東京混声合唱団をはじめ、合唱指揮を得意とする山田和樹だけに、楽譜を持った時と暗譜とでは、声の飛び方がまるで違うということを意識したのだろう。
ソリスト陣がもう少しクリヤーだと良かった気もしたが、あえてオケとコーラスの中間に配置されていたので、声が埋もれることはある程度、計算ずくだったと思われる。

総じて極めて心地よく、しかも山田和樹のマーラー愛が強烈に伝わってくる感動的な演奏だった。

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2017. 06. 09  
19日
交声曲「海道東征」
北原白秋作詞 信時潔作曲
大井剛史指揮東京フィルハーモニー交響楽団
独唱:幸田浩子(ソプラノ)、小原啓楼(テノール)他
合唱:栗友会、杉並児童合唱団
東京芸術劇場コンサートホール

初耳の曲だ。
我が家には信時潔集成というSP音源から復刻されたCDアルバムがあり、その中に収録されているのだが聴いたことがなかった。
信時潔といえば高校時代「あかがり」とか「子等を思う歌」を合唱で歌ったことがあり、親しみ易い旋律で、いまでも時々思い出す。
この海道東征も同様で、きわめて分かり易い旋律の集合体だ。残念ながら白秋の詩は、擬古文というそうだが、古い文体でよく分からない。
神代から建国に至る皇軍の活躍を詠った壮大な叙事詩に、皇紀二千六百年奉祝のために作曲されたもの、ということらしい。
美しい抒情的な部分と勇ましい戦意高揚と思しき部分がホボ交互に現れて、否が応でもワクワク感が刺激される。戦後しばらくは封印されていたというのもむべなるかなと思われる。
我が家のCDは1941年の録音で、まさに戦意高揚のための演奏といえるもので、力強いリズムを強調した軍歌調だ。
それに較べて今回の演奏は美しさの部分が強調されていたように思われる。雑味のない栗友会の合唱はもちろん、ソリストの面々も全く力みのないまろやかな歌い方で、「ヤアハレ」という掛け声(普段聞いたことはないが)も柔らかく、高貴な(!)印象だった。
字幕が投影されていたが、プログラムに記載されていたものと同じで、せっかくなので現代語に翻訳されたものを流してほしかった。
アンコールの形で演奏された「海ゆかば」では、起立して唱和する人もいたが、ステージの上で歌った人たちは、どんな気持ちで歌っていたのだろうか。
開場時間が長めにとられていたが、コーヒーラウンジは黒いスーツ姿で談笑する紳士でいっぱいだった。客席も黒服が多く、少々緊迫感のようなものを感じたが、みなさん柔和な顔をされていたので、特に威圧感はなかった(笑)。

海道東征
2017. 04. 04  
国技館五千人の第九

2月19日(日)両国国技館
下野竜也指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:半田美和子 アルト:清水華澄
テノール:糸賀修平  バス:福島明也
合唱:国技館すみだ第九を歌う会5000人

国技館入場は初体験だ。
以前、武道館のコンサートでひどい目にあったことがあるので、ちょっと不安だったが、まったく杞憂に過ぎず、むしろ普通のコンサート会場よりもスッキリしていたくらいだ。
今回指定されたボックス席というのが実に楽な椅子席で、喫茶店でくつろぎながら観覧しているような素敵な場所、相撲の足先まで確認するには遠いかもしれないが、音楽鑑賞には文句なし、ゆったりと楽しむことができた。
合唱団が客席の半分以上を陣取っていて、ソプラノとアルトは50メートル位離れているにも関わらず、時差によるモヤつきもなく不思議なほどクリヤに聞こえた。
オケには軽くPAがかかっていたようだが、全く違和感がなく、33回目ということで、音響さんも手馴れているのだろう。
オケ鳴らしの達人、下野竜也の指揮で響きの豊かなたっぷりとした第九が楽しめた。
ソリスト陣は、テノールの糸賀は初めてお耳にかかったが、他は耳馴染みのある人ばかりで文句なし、特にバスの福島は、記録によると第12回からホボ連続出場で、ベテラン過ぎるのではないかと思ったが、この会場の響きは知りつくしているのだろう、歌い出しも堂々としていて気持ち良かった。

変わっていたのは、ソリストの入場だ。
通常、初めからオンステしている場合もあるが、2楽章が終わったところで入ってくることが多い。ところがここでは、3楽章の途中で曲を中断することなく、通路を通って登場したのだ。
控えに入る力士さながらの光景は国技館ならではで、ちょっと愉快だった。

第九演奏の前には通常、前菜のような感じでオーケストラが何か一曲小品を演奏することが多いが、今回は何と合唱の栗友会がア・カペラで登場した。
曲目は1:花(滝廉太郎)2:ことばは魔法(信長貴富)3:MI・YO・TA(武満徹)4:地球へのピクニック(三善晃)。
いずれも比較的小編成で歌われることが多いと思われるが、栗友会は、大編成にも関わらず、しかも、このバカでかい会場にもかかわらず、全く曇りのないクリヤーな演奏を聞かせてくれた。
耳慣れた「花」は初めて聞く編曲だったが、文字通り流れるように美しく、季節柄、場所柄!ということもあり大変心地良かった。
また、小人数で歌ってもモヤモヤしがちな武満も、さわやかとさえ思えるほどすっきりと歌われ、素晴らしかった。
栗友会をご本尊の栗山文昭が指揮した演奏というのは、初めて聞いたような気がするが、メンバーからの信頼がいかに厚いかという、そんなことを見せつけられたような演奏だった。
この4曲のあとにオケが入って、アイーダの凱旋行進曲が歌われたが、第九への橋渡しとして、的確な演出だったと思う。

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プロフィール

がんも

Author:がんも
ヨハン・シュトラウスと女の子が大好きな老人です。
歌うことが大好きです。イタリア民謡とかトスティとか。
小旅行も大好きです。新緑や残雪の山並みを見るとドキドキします。

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