2017. 04. 04  
国技館五千人の第九

2月19日(日)両国国技館
下野竜也指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:半田美和子 アルト:清水華澄
テノール:糸賀修平  バス:福島明也
合唱:国技館すみだ第九を歌う会5000人

国技館入場は初体験だ。
以前、武道館のコンサートでひどい目にあったことがあるので、ちょっと不安だったが、まったく杞憂に過ぎず、むしろ普通のコンサート会場よりもスッキリしていたくらいだ。
今回指定されたボックス席というのが実に楽な椅子席で、喫茶店でくつろぎながら観覧しているような素敵な場所、相撲の足先まで確認するには遠いかもしれないが、音楽鑑賞には文句なし、ゆったりと楽しむことができた。
合唱団が客席の半分以上を陣取っていて、ソプラノとアルトは50メートル位離れているにも関わらず、時差によるモヤつきもなく不思議なほどクリヤに聞こえた。
オケには軽くPAがかかっていたようだが、全く違和感がなく、33回目ということで、音響さんも手馴れているのだろう。
オケ鳴らしの達人、下野竜也の指揮で響きの豊かなたっぷりとした第九が楽しめた。
ソリスト陣は、テノールの糸賀は初めてお耳にかかったが、他は耳馴染みのある人ばかりで文句なし、特にバスの福島は、記録によると第12回からホボ連続出場で、ベテラン過ぎるのではないかと思ったが、この会場の響きは知りつくしているのだろう、歌い出しも堂々としていて気持ち良かった。

変わっていたのは、ソリストの入場だ。
通常、初めからオンステしている場合もあるが、2楽章が終わったところで入ってくることが多い。ところがここでは、3楽章の途中で曲を中断することなく、通路を通って登場したのだ。
控えに入る力士さながらの光景は国技館ならではで、ちょっと愉快だった。

第九演奏の前には通常、前菜のような感じでオーケストラが何か一曲小品を演奏することが多いが、今回は何と合唱の栗友会がア・カペラで登場した。
曲目は1:花(滝廉太郎)2:ことばは魔法(信長貴富)3:MI・YO・TA(武満徹)4:地球へのピクニック(三善晃)。
いずれも比較的小編成で歌われることが多いと思われるが、栗友会は、大編成にも関わらず、しかも、このバカでかい会場にもかかわらず、全く曇りのないクリヤーな演奏を聞かせてくれた。
耳慣れた「花」は初めて聞く編曲だったが、文字通り流れるように美しく、季節柄、場所柄!ということもあり大変心地良かった。
また、小人数で歌ってもモヤモヤしがちな武満も、さわやかとさえ思えるほどすっきりと歌われ、素晴らしかった。
栗友会をご本尊の栗山文昭が指揮した演奏というのは、初めて聞いたような気がするが、メンバーからの信頼がいかに厚いかという、そんなことを見せつけられたような演奏だった。
この4曲のあとにオケが入って、アイーダの凱旋行進曲が歌われたが、第九への橋渡しとして、的確な演出だったと思う。

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2017. 01. 28  
マーラー「一千人の交響曲」
パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団
栗友会合唱団、新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団
エリン・ウォール(ソプラノ)他ソリスト7人
9月8日 NHKホール

ダブル編成に近いオーケストラ、8人の独唱者、三組の大合唱団、総勢500人規模の大所帯、これを一人で仕切るヤルヴィさん、さぞやたいへんだろう、というよりさぞいい気分だろうと思われる。
オケの壮麗な響きと合唱の美しいアンサンブルと迫力は、現在得られる最高レベルのものに間違いない。大きな音量は出ても、ゴチャゴチャになって何をやっているのかよく分からないという演奏が多い中で、どこまでいってもふっくらとした透明感が失われないのは、オケや合唱の技量もさることながら、ヤルヴィの統率力が並大抵のものではないということを感じさせるものだった。
独唱は初めて聞く人ばかりだったが、いずれも力強く安定感のある歌唱を聞かせてくれた。
歌い慣れているのか、この長大な曲を、譜面台を下げてホボ暗譜で歌っている人もいた。
N響の90周年記念公演ということで、通常の定期演奏会と異なり、1回だけの公演なのは、何だかもったいない気がした。
余談になるが、今回の演奏会では隣席に盲導犬を伴った人がいてちょっと驚いた。
私が座るとすぐに話しかけてきて、バンダや児童合唱の位置とか山田和樹のマーラーツィクルスについて、みたいな話題を投げかけてきた。
隣がどんな人物なのか確認したかったのだろう。
何より驚いたのは犬だ。座席は1階ホボ中央の前から5列目、大音響がまともに飛んでくる。犬の聴覚は人間の何倍も高いというのに、私の足に触れていたお尻が、1時間半、ほとんど動くことがなかった。
終演後、何事もなかったように穏やかな顔で主人をエスコートして帰って行った。
音楽で感動、犬で感動、何とも不思議な体験だった!


ドボルジャーク「スターバト・マーテル」
ハルムート・ヘンヒェン指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
松田奈緒美(ソプラノ) 池田香織(アルト)
松原 友(テノール) 久保和範(バス)
栗友会合唱団
10月21日 すみだトリフォニーホール

宗教に関してはあまり熱心とは言えないが、このスターバト・マーテルは実に美しく大好きな宗教曲のひとつだ。
アンダンテコンモートと指定された曲の冒頭はかなり遅めに始まった。2分の3拍子で書かれているためか、指揮者によってこの入り方はかなり違った印象を受ける。
第6曲に置かれたテノールのソロは、甘美とさえ思えるほど美しいが、ここでは逆にやや早めのテンポで軽やかな感じ、好みとしてはもう少しゆったりと粘ってほしかった。
4人のソリストはいずれも中堅どころで力量としては申し分なかったが、歌い慣れていないのかかなり硬さが感じられた。
合唱は、歌い慣れている訳はないと思うが、いつもの通り適度な力強さでキッチリとした美しいアンサンブルを聴かせてくれた。
それにしてもこの栗友会という合唱団は凄まじい、とてもアマチュアとは思えない活躍だ。
2016年内に私が聴いただけでも、新日フィルと1月にブリテンの「戦争レクイエム」4月にラベルの「ダフニスとクロエ」、新響と4月にマーラーの「復活」、5月には三善 晃の「レクイエム」、7月には新日フィルと単独で「千人の交響曲」そしてこの9月と10月だ。
更に「第九」も数回歌っていた。
スゴイ!!
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2016. 08. 19  
女声合唱コンサートTrois Beaux Bouquets
29日(金)第一生命ホール

フランス語は辞書の引き方もよくわからないが、「三つの美しい花束」と解釈しておく。
その解釈にたがわず、女声合唱3団体による、きわめて上質な美しいコンサートだった。
赤坂有紀指揮;翠声会Ⅱ組(埼玉県志木市)、横山琢哉指揮;木声会(仙台市)という栗山文昭氏所縁の2団体と、東京の「彩」(栗山文昭指揮)のジョイントコンサートで、透明でノイズ感のない響きと、揺れの少ない安定感は共通している。
これは、よく行われる機械的な発声練習からは得られないもので、何か音楽的な心が培われる訓練がなされているのではないかと思われる。
それぞれにご贔屓の作曲家がいて、委嘱作品が多いことからも、演奏技術の高さがうかがえるが、今回は信長貴富、吉川和夫、池辺晋一朗が選ばれていて、似たもの合唱団とはいえ曲想の違いを見事に描きだしていたので、文句なしに楽しめた。
締めは三者合同演奏、栗山氏の指揮で超人気曲の「水のいのち」、女声合唱で聴くのは初めてだった。なんと清涼な流れなのだろう、まろやかな起伏を伴って柔らかに、下流に行くほど綺麗になってしまう、芥なんか微塵もない水のいのちだ。
合同での練習はほとんどできなかったと思うが、全く違和感がなかったのはさすがだった。
この曲に関しては、男声の、壮大で起伏の大きな演奏に魅力を感じていたが、これだけ美しいと女声も悪くない、と思わされた演奏だった。

三団体コンconvert


2016. 04. 11  
“DVD付きCD”というものがある。
主体はあくまでもCDで、付録としてDVDが付いている。DVDの内容は、美しい風景の中での演奏風景や、メイキング映像が多く、そのアーティストの特性の一端を知ることができる。
購入者側の気持ちとしては、当然美形のアーティストに限定される。
テレビの歌謡番組でMay J.という女性歌手を聞き、そのクリヤーな歌い方が気に入っていたところ、amazonのおすすめで Sweet Song Coversというアルバムが発売されたことを知り、早速購入した。
「待つわ」「初恋」「秋桜」等、70~80年代の名曲がカバーされており、これに、綺麗な景色の中で歌う姿や、録音風景が収録されたDVDが付いている。
これが結構気が利いていて、これを目当てに購入する、とまではいかなくても、喜ぶファンは多いはずだ。
クラシックの分野にも同様な形態のものがあり、すでにCDの発売実績をもつ、ギターの村治佳織、ソプラノの幸田浩子、三宅由香莉等がある。

三宅由香莉といえば、先日来 yahoo で「キューティーハニー」を歌う中々チャーミングなMVが流れていて、海上自衛隊音楽隊の「ブラバン・ヒーローズ」という新譜のPRだったのだが、ブラバン好き人間としては放ってはおけず、DVD付きではなかったが、早速購入してしまった。

我が家には、この手のCDが結構多い。

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yahoo MV の画面を撮影







2016. 02. 22  
レガート ウインターコンサート

14日(木)東京オペラシティ 近江楽堂
女声3、男声4のグループに、今回はパリ在住のソプラノ、高橋美千子を加えてのアンサンブル。
武満徹の「小さな空」やアメージング・グレース等の小品のステージのあと、なんとフォーレのレクイエム。
これは、してやられた、という印象。
比較的大人数で柔らかく、真綿にくるまれたような響きに包まれて聴きたいこの曲を、ソリストを含めて8人で歌うというのはいかがなものか、という先入観はすぐに消えた。
豊かすぎるほどのホールの響きを生かして、美しいアンサンブルを聞かせてくれた。
ただ、ソリストをステージの両端に置いていたが、特にソプラノの響きが薄くなっていたように思う。センターに置けば透明感のある声がもっと生かされたのではないかと感じた。
クラヴィノーヴァによるオルガン伴奏は、私もお世話になった渡部香さん、勝手が違う楽器で苦労したのではないかと思われるが、的確な音量バランスで頼もしいサポートだったと思う。

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新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会

ブリテン:戦争レクイエム op.66


(ソプラノ)アルビナ・シャギムラトヴァ (テノール)イアン・ボストリッジ
(バリトン)アウドゥン・イヴェルセン (合唱)栗友会合唱団、東京少年少女合唱団
 (指揮)ダニエル・ハーディング  (合唱指揮)栗山文昭、長谷川久恵
15日(金)すみだトリフォニーホール
宗教心も持たず、音楽にほとんど精神性を感じることはないのだが、この演奏には緊張感、昂揚感、安堵感といったものが満ち溢れていて素晴らしい演奏だった。特にテノールのボストリッジはこういう語りかけるような歌い方は天下一品で、意味は分からなくても、何やら説得されたような気になる。
ソプラノのソロは、正面の高いオルガンの位置、少年少女合唱はどこにいたのか分からなかったが、三次元的な響きが効果的だった。
新日フィルは、いつも少々粗っぽい感じになるところが気になるのだが、今回は濃密かつ柔軟な音作りで、ハーディングのしなやかな指揮ぶりによくついていたと思う。
栗友会の合唱は、言うことなし、冒頭、腰掛けたまま静かに歌いだすレクイエムは正に鳥肌ものだった。ノイズっ気のない美しさとダイナミックレンジの広さは圧巻で、現在、最も優れた合唱集団だといっても過言ではない。世界的にもこれほど肌理の細かい合唱団は聴いたことがない。
眠くなるのを覚悟していたが、いろいろ予習して行った効果もあって、心地よい緊張を伴ってバッチリ聴くことができた演奏会だった。
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板橋区演奏家協会 ファミリー音楽会
24日(日)板橋区立文化会館大ホール

板橋区在住の演奏家による、子供やお年寄りを対象としたコンサートで、定期的に開催されているようだ。周囲の会話を聞いていると、毎回このコンサートを楽しみにしているお年寄りも多いらしい。
ファミリー音楽会とは言え、テーマに「大切な人の思い出」とある通り、今回は大人向けのプログラム、聞きなれない曲を織り交ぜて楽しめる内容になっていた。
声楽を中心に器楽や合唱を加え、一定の演奏水準が保たれていて、聴きごたえはあるのだが、掲げられたテーマに対してやや散漫な印象を受けた。
せっかく「お楽しみタイム」といった愉快なステージもあるのだから、プログラム構成に、もうひと工夫あればよかったと思う。


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新国立劇場 モーツァルト オペラ「魔笛」

ロベルト・パーテルノストロ指揮 東京交響楽団
 (演出)ミヒャエル・ハンペ
タミーノ:鈴木 准   パミーナ:増田のり子   夜の女王:佐藤美恵子
ザラストロ:妻屋秀和  パパゲーナ:鷲尾麻衣  パパゲーノ:近藤 圭 (他)
26日(火)新国立劇場オペラパレス
ハンペ演出による魔笛の国内公演は6シーズン目になるとのことだが、奇をてらうことのない、ごくオーソドックスなもので、新国立の複雑に動く装置を駆使した舞台は見ごたえ十分だ。
歌手陣は揃って歌い慣れた感じで可もなく不可もなし、ただ、夜の女王を得意とする、佐藤美恵子が必ずしも絶好調という印象でなかったのがいささか残念な気がした。
1幕では、天井から宙ずり状態でおりてきて5メートル位の高さでアリアを歌うという場面があり、以前、同じ演出で観たときは5列目から、見上げるような感じで、ゾクゾクしてしまったものだが、今回は11列目、それでもちょっと恐ろしかった!
物語の進行上、重要な役割を果たす3人の童子(前川依子、直野容子、松浦麗)と3人の侍女(横山恵子、小林由佳、小野美咲)が、声、演技、容姿共に綺麗で、きびきびとした動きが印象的だった。
パパゲーノは、予定されていた萩原 潤が体調不良ということでカバーの近藤が務めていたが、無難にというより楽しげに熟していた。ただ台詞を忘れたのか日本語で笑いをとっていた部分があった。
年末に聴いた日フィルの第九でも、ソリストの交代があり、この時期はプロでも体調管理が難しいようだ。
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YMCAオラトリオ・ソサエティ第7回定期演奏会

M・ハイドン、W・A・モーツァルト 「レクイエム」
30日(土)紀尾井ホール
(指揮)渡辺善忠  (オルガン)堀井美和子
(ソプラノ)加藤麻衣 (アルト)小川明子
(テノール)鏡 貴之 (バリトン)原田 圭
合唱団、室内オーケストラ、オルガンが、ホールの大きさ(響き)にピタリとはまった、素敵な演奏会だった。
指揮者の渡辺善忠氏は音楽経歴もさることながら、教会の牧師でもあり、大変熱心なキリスト教の伝道師であるようだ。合唱指揮者によく見かける、派手なパフォーマンスは皆無、真摯な指揮ぶりが好ましかった。
合唱、オケ共に終始穏やかに流れて、激することなく心地よいハーモニーが保たれていた。
ソリストはいずれも脂ののった(宗教曲に相応しくない表現だが!)中堅どころで、ソロ、重唱ともにのびやかで気持ちが良かった。
ミハエル・ハイドンの「レクイエム」は初めてお耳にかかったが、出だしからモーツァルトにそっくりで、ええっ?と思ったが、時代的にモーツァルトが影響を受けたのかもしれない。
今回のプログラムはそのような背景を見通せるように考えられたものらしい。
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プロフィール

がんも

Author:がんも
ヨハン・シュトラウスと女の子が大好きな老人です。
歌うことが大好きです。イタリア民謡とかトスティとか。
小旅行も大好きです。新緑や残雪の山並みを見るとドキドキします。

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